撮影

 


ナカサ・アンド・パートナーズの辻谷さんに、竣工写真撮影をしていただいた。


数年前まで、建築写真撮影と言えば、三脚に4×5フィルム用大型カメラを構え、獅子舞のごとく黒き布を頭にかぶり、ファインダーにフィルム原寸で映る倒立画像を見ながらアングルを決め、ポラロイドで試し撮りし、そして時計を見ながら露光時間を計り、呼吸を整えレリーズを降ろす。という気の遠くなるような作業を何度も繰り返していた。


建築写真も他と同様、現在デジタルになっている。タングステン用のカラーフィルムが生産を中止し、フィルムを使っての撮影が物理的に出来なくなってしまったのも原因のひとつらしい。


フィルムの撮影では現場での作業が多く、日照条件を見ながらの建物撮影は時間との勝負だった。今は、露出もアングルの確認も、特別な道具を使わなくても一台のデジタルカメラで正確に出来る。フィルム時代よりも、現場での作業は格段便利になっているだろう。


フィルムとデジタルの違いは撮影後にも鋭く現れる。どちらも、撮影後に暗い箱—ブラックボックス—の中での作業になるところは似ていると言えないことも無いが、箱の中身はといえば、一方は酢酸の臭いが充満した化学反応の舞台での一発勝負、他方は0と1との無限の組み合わせの中から最適の並びを見つけるための終わりなき旅。


辻谷さん、長い旅、よろしくお願いします。

 

2011年5月17日火曜日

 
 

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