M.C.Escher

 


御殿場では田植え直後の田圃に強い雨が降っていた。


水平—水のように平ら—とはよく言ったものだ。その水平な筈の水が、雨に打たれて3次元に暴れている。そのことが、かえって水平面を強く想起させる。


エッシャーの作品が好きだ。水面を扱う作品のうち、特に印象的なのは Drie werelden (3つの世界)である。 ①水面に広がる落ち葉 ②水面に映り込む背後の樹木 ③水面下の魚    水面の持つ境界的性格、反射/透過という特質を、余すところ無く表現し尽くしている。技法として、水と油の反発作用を利用した平版画=リトグラフを選択していることも興味深い。


ピラミッドを建てはじめる時に、巨石を載せる地盤をどうやって水平にしたか。「岩盤の上に溝を方眼状に掘り、溝の中に水をためて、飛び出している部分を水面の高さまで削る」など諸説あるようだが、ここはピラミッドの底辺と同じ大きさの正方形の浅いプールをつくり、全ての場所で水の深さが同じになるよう地盤を削り揃えていったと思いたい。


砂漠の岩盤上に現れた1辺230mの鏡のような水面。ピラミッドはその施工の開始時点で、目眩がする程の幻想的な風景を現出させていた、に違いない。エッシャーだったらどう描いたか。

 

2011年5月12日木曜日

 
 

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