水仙

 


井の頭公園の、切れるように寒い池のほとり。


水に向かって倒れ込みそうな角度でのびている桜の足回りに無数に植えられているのは、冬の季語水仙だ。水を覗くように生えるのはギリシャ神話以来ナルシスの宿命なのだろう。水仙に囲まれた桜もそれにつられ水に向かって伸びたのか。


花の色は うつりにけりな いたづらに

わが身世にふる ながめせしまに


うつりにけりな、は水に映るってことじゃなかったような気がするなあ、しかも冬の歌じゃないけど、この桜の老木、水に映った我が身を見るとひっくり返ってしまうのじゃないか知らん。そういえば、あのエロ坊主一休宗純は「美人陰有水仙花香」とかいって、水仙の香りを女性官能の匂いに例えてたな。


など、どうでもいいことめぐらしながら吉祥寺の本屋に寄ると偶然、FgのMさんが岩波のコーナーで難しそうな本を手にしている。少し立ち話。明後日のクリスマスコンサートについて集合時間の確認ができた。


偶然だと思っているのは、僕らがその複雑な因果関係の仕組みを理解出来ない程の無知だからだって、ボルヘス先生も言ってたっけ。

 

2011年12月21日水曜日

 
 

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