クリコン終了
クリコン終了
幾多の事故・困難を乗り越え、本郷教会のクリスマスコンサート終了。またも怖いシュッツを認識するはめに。
シュッツの後で演奏するバッハその人は、比較して大変恐縮なのだが、大バッハと呼ばれているのに子供っぽい。やりたいこと、出来ることを何でも盛り込んでいる感がある。器用なのだろう。何でも盛り込みたいという姿勢は、時代が下るにつれ楽器やホールの性能高度化に従って勢いがつき、例えばルイジ・ノーノのオーケストレーションのような限界に向かう右肩上がりのベクトルになる。それは、技術の裏付けのお陰で、アクロバティックな形態操作を器用にこなす現代建築の姿とピタリと重なる。ノーノの墓を師匠・磯崎新が設計したのは偶然ではない。
今年最後の打ち上げは、いつものバルタザールを貸し切って合唱団の方々も大挙参加、全員でシュッツのアルゾーを歌ったり、ナチュラルトランペットのアンサンブルを聴いたり、いいクリスマスを迎える準備ができた。ここの料理は全て安心していただける。なかでもブリ大根はすばらしかった。
雑談の中で淡野弓子氏は「311以降、今何をすべきかが見えてきた人が増えている」と仰る。小さきものが未来を確信するためには、過去に対し謙虚であるしかない。アヴァンギャルドを指向する音楽家が古い時代のものを演奏するのも、現代建築に携わる者が歴史に学ぶのも同じことである。
2011年12月24日土曜日