三上晴子・欲望のコード@ICC

 


ここの展示はいつも実験的玉石混淆モツ煮込闇鍋なのだが、今回は「Eye-Tracking Informatic 視線のモルフォロジー」と題した参加型展示が面白い。


ミニシアター中央にはメカっぽい椅子が設置されている。その椅子に座り頭の位置を固定し、眼球の動きを追跡するセンサー付きのカメラを目の前3~40センチほどのところにセットする。「時計仕掛けのオレンジ」を思い出し不安がよぎる。鑑賞者に合わせた補正を行うと、目の前のスクリーンには音響、振動とともに高速で飛ぶ宇宙船の操縦席の景色のような映像が流れ、それを見る自分の視線の軌跡が3Dで連続する線として記録されて行くという仕掛けである。


3分ほどの鑑賞の後、自分の視線の動きが経時的に可視化される。ボクの場合は龍のようにうねる長く赤い軌跡になった。鍛え練習すれば、かっこいい絵を描くことも可能かもしれないと思わせてくれる。


視線の動きにより非接触で描画する技術は、筋萎縮側索硬化症(ALS)という難病に罹ったデザイナーのために、彼の父親友人知人が共同で開発したものだということを後で知った。作品を体験することは、不自由の補完機能を超え、生きていることの再確認作業ともいえよう。

 

2011年12月17日土曜日

 
 

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