DIES IRAE
DIES IRAE
ロビーに入ると安い芳香剤の匂いが気になるような田舎のビジネスホテル。近くに食べられるところもあまりなさそうな場所なので、夕食は1階にある居酒屋で食べることにしていた。ところがその日は居酒屋が定休日。フロントに訊いてみると、歩ける距離のところに2件あるという。近くは「焼肉・ラーメン」もうしばらく歩くと「ステーキ・サラダバー」
歩き始めるとすぐに、教えられた「焼肉・ラーメン」がある。看板の照明は消えていても営業中のようだ。が、侘しさを絵に描いたようなその店には入る気がしない。横目で一瞥し「ステーキ・サラダバー」に決める。
気づいた時は手遅れなのだ。これは何かの肉らしいけど、不明。こちらも何かの野菜らしいけど、不明。何をどうするとこんな珍妙な味になるのか。それでも「出された飯は食う」を座右の銘にしているのでやむを得まい、一刻も早くこの店を出たいと思いながら光速で掻き込む。ああそれなのに、レジで近所のおっさんおばはん10人ほどのグループが割勘で一人づつゆっくりと会計している。食事時間と同じくらいレジの前で待たされて仁王立ち。
こんなことだったら「焼肉・ラーメン」の方がマシだったかも知れんと思いつつ、侘び寂びた店を横目で見ながらホテルに帰る。息を止めてロビーを突っ切り部屋に戻るとお腹が痛い。
体は正直である。
2011年12月13日火曜日