北京にて 4

 


午後も歩くことにした。日本や韓国と異質なスケール感は歩くことで少しは分かりやすくなるのかもしれない、と思って歩いてみるのだがこの方法は有効だ。足の痛みを別にすれば。ヒラメ貼り用のサロンパスを持ってくれば良かった。


昼食で正しい餃子をやっつけてから、后海の周りを一周散歩。リキシャの営業が激しく攻めてくるが、こちらは写真を撮りながら自分のペースで歩きたいので黙殺無視。だけど途中から、乗っておけば良かったなと思うことになる。湖の輪郭一周3キロぐらいか。水はそれほどきれいでない、というよりは淀んでいるといって良い位の汚れ具合なのだが鴨が水辺で暮らしている。よく見ると、鴨に混じって地元のおっさん・おばはんたちが本気で泳いでいる。水泳倶楽部のような団体があるのだろう。免疫力、恐るべし。


孫文の奥さん宋慶齢の邸宅や大石碑胡同など、人間的スケールの空間を彷徨い歩きながら、午前中見た故宮との鋭い対比を思う。


ここは、北京の中心軸のすぐ西側に沿った地域だ。近くに、かつて街中に時刻を知らせた「鼓楼(太鼓で時刻を知らせる)」「鐘楼(鐘で時刻を知らせる・写真)」が南北100m程の間隔で中心軸線に正確に乗っている。天子は度量衡や文字、貨幣単位を決める権利を持つが、時間を支配することも支配者の特権だったろう。鼓楼は13世紀、鐘楼は15世紀に創建された。40キロ四方に響き渡る鐘の音を聴くたびに、創建者、明の永楽帝は世界征服達成の歓喜にうち震えていたに違いない。


痛い足を引き摺って夜は北京ダック。昼間に見た后海の鴨でないことを願う。だが、どっちにしても美味い。


つづく

 

2010年7月3日土曜日

 
 

◀

▶