くらしと測量・地図
くらしと測量・地図
新宿駅西口のイベントコーナーで「くらしと測量・地図」展を見た。
床面に10メートル四方の古地図が敷き詰めてある。明治10年の東京都心部の地図。地図の裏にはICタグが埋め込まれていて、地図の上を歩きながら杖のようなスティックで見たい場所をさすと、その場所の現在の地図/航空写真/高度成長前夜/戦後/戦前/関東大震災直前/明治末期など、いろんな時代のその場所の地図が手に持たされたモニターに映るというインターアクティブな仕組み。「時空ナビ」という名前の商品として貸出や販売もしているらしい。「ブラタモリ」効果なのだろうか、結構人が集まっている。
他にも、伊能忠敬の所謂「伊能大図」の江戸~伊豆あたりのものや、彼が使った測量機器、「あなたのまちの地域危険度」「東京都内帰宅支援マップ」などなど、気になる展示が盛りだくさんで楽しめたのだが、最後に見つけてしまった。
1945年3月10日の前後で都心の同じ範囲を米軍が空撮した2枚の写真、無差別絨毯爆撃の記録である。どの範囲がどれだけ焼き尽くされたかが一目瞭然。特筆すべきは、関東大震災で被災した木造家屋密集地域の下町が集中的に攻撃されていることだ。アメリカは地震の被害を徹底的に検証し、最も弱い部分を狙い撃ちした。大震災と3月10日の被害地域は、アメリカの撮影した記録写真を見ると、ぴたりと一致している。(どちらの写真も同時に展示されていた。)
日本政府は敗戦から20年も経たない1964年に、東京大空襲を指揮した米軍のカーチス・E・ルメイに勲一等旭日大綬章を授与、延々かつての敵国基地を全国に満遍なく駐留させ、国民はその費用を負担している。
2010年6月7日月曜日