煙突
煙突
「煙突のてっぺんに立って、棒の先につけたカメラでセルフポートレートを撮る。」という衝撃的な写真を見たのは1987年のこと。飯村昭彦によるトマソンの表紙写真、撮影場所は現在のアークヒルズにあった廃業した銭湯の煙突の先端だった。
日本の鉄筋コンクリート造は、煙突を作ることで普及し始めた。「なんとか鉄筋コンクリート」という社名がかつてたくさんあったが、それはもともと煙突を作っていた会社のものだ。遡るとこの技法はフランスで植木鉢を作る時に針金で補強したのが始まり(1867年)。その技法で構造物をつくるようになったのは19世紀末。圧縮に強いコンクリートの中に引っぱりに強い鉄をうまく配置して、堅固な構造システムを実現した。錆びるはずの鉄がコンクリートのアルカリに包まれて錆が進行しないということや、鉄とコンクリートがほぼ同じ熱膨張率を持っていたことも幸いした。
つづく
2010年1月26日火曜日