キリコ
キリコ
キリコを使って人形を作る井桁さんの連載が面白い。キリコと言ってもジョルジョ・デ・キリコではなく桐粉。桐の粉を糊と混ぜて練ったものを少しずつ重ねては乾かし、乾かしては重ねる。この作業を繰り返し、超現実的な人形が産み落とされる。
キリコと言えば「能登キリコ」。夏の能登各地でキリコ(切籠灯籠の略称)と呼ばれる巨大な御神輿を、夜を徹して練り歩く祭りがある。
5〜6年程前の夏、浅野さんのご実家、七尾市の石崎(イッサキ)町に招いていただき、「石崎奉燈祭り」を初体験した。高さが14〜15mもある「奉燈」と呼ばれる巨大キリコを、1基100人程のフンドシ・サラシ男衆がやっとこさ担ぎ、独特の掛声と足さばきで「美しく」運ぶ。小さな港町の細い路地を、スケールアウトした巨大な奉燈が全部で6基、揺れながら少しずつ進んで行く。
24時間ぶっ通しの祭りは、奉燈に灯が入る夜がすばらしい。低い軒先をかすめながら、ゆらゆら動きつつ暗闇を進む奉燈は、ナウシカの巨神兵が燃える街の上を歩く姿とオーバーラップする。
キリコの超現実的風景。
2010年1月22日金曜日