火事
火事
日曜日、ニュースを聞いていると「港区西新橋で火事があり・・・」。駅から事務所に向かう道の途中にあるサラリーマンの味方「まるきん」には時々食べにいっていた、まさにその一画だ。木造13棟が燃えてしまった。
西新橋は大通りに面してオフィスビルが林立しているが、一歩裏道に入るとバブル期の地上げ攻勢にも踏みとどまった木造低層の商店や住居が密集している。「こういうところで火事があると、誰かを疑わずにはいられない(ゴッドファーザーのマーロン・ブランドの声で)」
今日は焼け跡の脇を通った。立ち入り禁止の黄色いテープに囲われた区域のど真中に「まるきん」があった。最も燃え易そうな入口上部のビニール製看板兼庇は何故か焼けておらず、「まるきん」の文字はしっかり読める。外壁は燃えてないように見えるが、室内は黒い。ガラス窓は跡形もない。またここのメンチカツを食べられる日が来るのだろうか。
火事場跡に近づくと、いつも印象的なのはニオイ。石油由来の人工高分子化合物が燃えた時に出るあの独特の嫌なニオイが鼻から喉の奥にまとわりついてくる。木造が燃えても、ニオイはプラスチック製だ。このニオイから逃げられないと、火の中で倒れることになる。
「煙を吸った30代の女性が体調不良を訴えた他にけが人はいなかった。」
我々は、燃えて有毒ガスを出すような新建材で建物をつくってきた。昔の火事のニオイはどうだったのだろう。
2010年1月19日火曜日