マヤさん
マヤさん
マヤ・フレーザー(Vn)× 沢木良子(pf)@杉並公会堂小ホール
「弓が震えそうになったら意識を右手の親指に集中するといいですよ」と鈍色舎の打上の時、教えてくれたマヤさんの演奏をはじめて聴く機会が来た。
冬のコンサートはコートや毛糸の客が多く、吸音する素材だらけで、ホールの音場は「デッド」になる。コンサートホールの設計に関わった経験があると、残響時間や、壁の素材、形状など、建築的なところが職業病的に気になる。その「デッド」な中でも、曲の最後のロングトーンを、消え入るボーイングできれいに弾ききるのはさすがだ。マヤさんも親指に意識を集中しているのだろうか。
クライスラー、グリーグ、ヴィヴァルディ、ブラームス、ピアソラ、マスネ。特にアンコールのピアソラは同時代の音楽家としての共感に後押しされているのだろう、「この曲大好き!」な感じが前面に出ている快演だった。
2010年1月14日木曜日