匠明
紀州の技術者集団、平内(へいのうち)家の秘伝書。桃山時代の木割(きわり)書。
木割は、建物の種類・規模によって、その各部の比例関係を表したもので、図のみならず言葉でそれを記しているところが、現在の我々の目には特徴的だ。図よりも言葉の方に重心があるように見える。
本としてまとめる以前には、口伝が一般的な技術継承法だったに違いない。
現在の我々が設計をする時にも、まず構築内容を言語化する作業が有効だろう。それは、視覚的に様式や形態をなぞる事ではなく、空間の「意味」そのものを考える事に他ならない。
2009年9月17日木曜日