ポン・ヌフ
ポン・ヌフ
新橋、と書いてポン・ヌフと読む。(写真は新橋のジュリエット・ビノシュ)
都内最大の闇市は新橋駅周辺だったらしい。駅前の再開発時に、闇市から発展したバラックの店が撤去され、その代替地として新橋駅前ビルの地下飲屋街ができた。1960年代後半の事。ビルの設計は、大御所・佐藤武夫。知らなかった。設計者入魂の外観を見る機会はなく、いつも地下道を歩いてそのまま地下1階の飲屋街に突進してしまうからだ。
何十件もある地下の立飲屋は、大抵1〜2坪程の最小限スペースだが、どの店もメニューの多さに圧倒される。あらかじめ下拵えをしているにせよ感動的だ。グラスやお皿も必要にして十分な量を確保しつつ、その隙間にピッタリ収まって店主が動いている。店主が店を着ている。酒やつまみの質も非常に高い。そして安い。
必要なのは、広いスペースではなく愛だ。
2009年8月5日水曜日