エリ・エリ・ラマ・サバクタニ

 


父に教えてもらった記事。備忘のため。

新渡戸稲造全集第20巻・593頁 全文引用。


イエスの最後の言葉         1933.3.1


 次にのべることは、もちろん、聖書学者にとっては目新しいことではないかもしれぬが、私は最近あるアッシリア学者の論文をよんで、天啓を得た思いがした。

 これまで私には、イエスの最後の言葉がどうしてもわからなかった―「エリ・エリ・ラマ・サバクタニ」、英語でいえば「わが神、わが神、どうして私をお見捨てになったのですか。」

 ところが、アラム語の聖書では―ついでながら記憶すべきことは、イエスはこのヘブライ方言を話されたということ、そして、この方言をネストリウス派のキリスト教徒は千七百年間使っていたということである―「ラマ」ではなくて「ルマナ」とある。前者は「どうして、なぜ」の意味だが、後者は「このために」である。「サバクタニ」には「見捨てた」という意味はなくて、それは「保つ」という動詞の一形態である。

 してみると、イエスが十字架上で発せられた最後の言葉は、「わが神、わが神、このためにこそあなたは私を保ちたもうたのです」であったに違いなく、だとすると、苦痛の爆発ではなくて、勝利の讃歌だということになる。


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2009年7月6日月曜日

 
 

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