弦張替

 


のタイミングが未だに良く分からない。バロックヴァイオリンで裸のガット弦を使いはじめてからは尚更だ。


使いだすとすぐにホツレはじめて、アレヨアレヨと言う間に「枝毛」でバシャバシャになっちゃうのだけれど、爪切りで丁寧にホツレた枝毛部分を切って行くとまだまだ使えそう。そこから結構長持ちしちゃうのだ。頑張れば、徳俵状態の危うい感じでいつまでたっても切れてくれない。切れていない弦を張替えるのはモッタイナイ気がして、音程も怪しくなり始めるまでついつい使っちゃう。


ヴァイオリンは木を膠で貼付けて、天然樹脂をアルコールや油で溶かしたニスで塗って、そこに羊や牛の腸を縒って作った弦を4本張って、それを松脂をつけた馬の尻尾の毛で擦って、音を出す。まるで料理。全て自然の動植物の組み合わせだ。食べても大丈夫だろう。


この楽器は誕生後500年間、基本的な構造・製法が不変だ。それでいて、一つとして同じ楽器は無い。しかも次々に新しい名器が誕生している。形態操作の深い闇に陥ってしまった現代建築を省みる、一つのヒントではある。

 

2009年5月25日月曜日

 
 

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