ログハウス あるいは積むこと

 


大雑把に言うと、木造文化圏の建物は柱・梁のような軸を「組んで」作るのに対し、石造文化の国々は、パーツ(石やレンガ)を「積んで」壁を作る。東大寺正倉院は、材を柱や梁としてフレームを組上げるのではなく、積み上げて壁体を作るということにおいて、ハイブリッドな石積的木造建築と言ってもいいだろう。「最古のログハウス」という人もいる。正倉院の場合、窓の必要が無かった倉庫だからこそ、この形式が採用されたのだと思うが、実際に住宅としてログハウスを造るとなると、窓や入口周りのディテールに、入念な検討が必要になる。木は、湿度変化で伸び縮みするが、ログハウスの場合、壁の上下方向、すなわち材の断面方向により大きく寸法変化が見られるからだ。


見てきました、いろんなタイプのログハウス。開口部周りの詳細は工夫の跡が見られるもののスマートとは言い難い。が、そんな些末なことよりも、木の持つ生命力がストレートに伝わるのは魅力的だ。



800年前の石造の教会に入り、私たちが激しく感動するのは、一つ一つのパーツを積んで行く、その時間の堆積が圧力を持って迫ってくるからだろう。そんな木造が創れないだろうか。


(写真はル・トロネ修道院)

 

2009年5月13日水曜日

 
 

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