タイル割り
といっても、タイルを壊すことではなく、床や壁にタイルを貼る時の分割方法のこと。
「ゼネコンの設計部に勤めると、最初にやるのがタイル割りだ」とゼネコン勤めの友人に聞いたことがある。同じ寸法のものを並べたり積んだりして、一定寸法の目地をとりながら、タイルの無駄を一切出さずに与えられたサイズの空間を仕上げて行くやり方は、経済性を極限まで追求する姿勢としてだけではなく、立体パズルとしても結構面白い。あまりを出さずにうまく割り付けられれば、目地を含んだタイルサイズの整数倍がその空間の内法寸法になる。ピタゴラス学派も大喜びだ。
新築の場合、あらかじめタイル割りを考慮して壁位置や天井の高さを決めておけばいいが、難しいのは改装工事の場合だ。どうしても半端な寸法が残ってしまうこともあり、泣く泣くタイルをカットする(ホントに割る)ことになる。割り方で、設計者のセンスがあらわになる。
日本製タイルの寸法精度は世界一と言っていいだろう。寸法の個体差がほとんどないので、見事に割り付けられる。それに比べると、このところ使っているイタリア製のタイルは施工者泣かせだ。寸法誤差がでかいので、目地寸法の中でダマシダマシ貼って行くことになる。貼り方に、施工者のセンスが出る。
ボクは、人間味のある方を選ぶ。
2009年5月15日金曜日