鋼鉄の処女

 


確認申請の事前相談で、久し振りの御茶ノ水。


師匠磯崎新設計の「主婦の友社」/「カザルスホール」。今は名前が変わってしまい「日本大学法科大学院」。隣地が駐車場になって、今まで見ることのできなかった角度から側立面が剥き出しになっている。カザルスホールは日大の都合で来年閉鎖の予定。オルガンも建築も文化も全部ぶっ壊して、容積率いっぱいの箱をつくるのかな。


道を挟んだ向かい側の明治大学は、いち早くオフィスビルのような箱。風格のあった旧記念館(設計・大森茂・1930年)は跡形もない。でも、今も変わらず博物館の中で待っていてくれたのが「ニュルンベルクの鋼鉄の処女」。中世ヨオロッパの拷問具だ。原寸大の人が入る、中が空洞の棺桶状の箱。全体の輪郭は人間の形をなぞっていて、女性(聖母マリア)の顔を持つ。前半身部分は観音開きの扉になっており、兆番を用い開閉できるつくりになっている。背筋が凍りつくのは、長く太く鋭い釘が箱の内側に向かって無数に生えているのを見たその時だ。拷問具とは言うけど、これを見るだけで、十分効果的だったに違いない。人間はどこまで残酷になれるのだろう。


神保町で地下鉄に乗るため、古書店街を横断。南洋堂、一誠堂、明倫館などを覗く。

 

2009年10月22日木曜日

 
 

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