山田風太郎
山田風太郎
編集者の高瀬さんは、娘の友人のお父上。以前お会いした時に勧めてもらった「人間臨終図鑑」をまた読み直している。一回目以上に味が出てきた印象。
古今東西から著名な人923人を集め、亡くなった年齢のみを手掛りに、死亡年齢別に分類した人物評をまとめている。例えば、山上憶良、カサノヴァ、伊能忠敬、ダーウィン、清水次郎長らは「73歳で死んだ人々」に分類されている。
今回、解説(平岡正明)の指摘を読んでみて深く頷かされたのは、以前は知ってる人のところだけ飛ばし読み、辞典的なつまみ食いをしていたのだけれど、今回は通読し始めてみて、この本のホントの面白さが分かったということ。
死を「濃密な虚無主義(平岡正明)」で徹底的に客観視する山田風太郎は、歴史家の目と化学者の情熱を持っている。捏造出来ない過去を、死亡年齢だけを頼りに列挙並記し、事実が衝突し、本の中で化学反応が起こるのを冷静に観察しているのだろう。
自分の死には、どう向かい合ったのだろうか。「あと千回の晩飯」を読んでみよう。
2009年10月16日金曜日