女郎蜘蛛
女郎蜘蛛
最近可愛くなってきたベランダ脇のゴンズイ。ゴンズイとベランダの手摺との間に、いつの間にか女郎蜘蛛が巣を作り始めていた。一般的に、蜘蛛は小さい虫を捕ってくれるのでなるべく壊さないように心掛けていたが、ゴンズイ可愛さのあまり、ある日女郎蜘蛛の巣をゴンズイから切り離し破壊してしまった。女郎蜘蛛は巣が壊れても最初から作りなおす事はしない。大規模補修で対応する。その日から女郎蜘蛛の「<ゼンカイ>ハウス」(宮本佳明)的対応が始まっていた。
手摺の隙間に辛うじて引っかかっていた巣の残骸を足掛かりにして、見てくれは悪いが何とか自分達夫婦のためのエリアを確保している。夫婦は雌が圧倒的に大きく美しく巣の中央部に鎮座している。対照的に地味で小さい雄はオマケのように巣の端に控えている。
今朝気づいたら雌が脱皮の真っ最中。初めて見る女郎蜘蛛の脱皮に見入ってしまう。抜け殻を巣に引っ掻けたまま、体を下方に移動させる。抜けたての体は、既におなじみの黄色と黒のストライプになっていて透き通るように美しい。「ように」じゃなくて、足の黄色い部分は本当に透き通っている。全身が抜けたところで自分が今まで入っていた抜け殻を巧いこと丸めて、巣からポイと捨てる。すると巣の隅で待機していた雄が、素早く雌に近づいてなにやら営みを始めているではないの。おー、これが女郎蜘蛛の交尾であるか。雄は雌の腹にしがみついて、一意専心一心不乱に前脚を動かしている。雌の生殖器は尻の先端にあるわけではなく、雄がいじっているお腹の真ん中あたりにあるようだ。ということは、雄の生殖器は前脚のあたりにあるのかな。
女郎蜘蛛は越冬せず、冬に卵を産んで死ぬ。秋は女郎蜘蛛にとって産卵と死を控えた人生のクライマックスなのだ。ゴンズイ同様、愛おしくなってきた。
2017年9月19日火曜日