ああカイロ

 


サウジアラビア関連の打合せをカイロでやる。


本来は、施主の本拠地であるサウジにこちらから出向くのが筋だと思うのだが、何せビザを取るのが極めて面倒な国なのだ。おまけにビザ価格としては有り得ない程の高額11万円チ〜ン。それでも我々日本人は何とかビザを用意して「その日」に備えたが、諸外国国籍の協働者たちがビザ取得に手間取って、結局カイロまで施主が出かけるということになった。


サウジの人たちも外国に出かけるのが嫌いではないようだ。自国の厳しい自然に比べれば、カイロなどは「さわやかな良い気候」と云うことになるのかも知れない。外で直射日光に当たることをもろともせず、にこやかに記念撮影をしている。あの白装束を脱いで、自由を満喫しているようにも見える。


初日の打ち合わせ後、遅いランチとして、10kmほど離れたアル=アズハル公園内のレストランで会食することになった。


嫌な予感がした。既に夕方のラッシュアワーに突入している。カイロで嫌なことは山ほどあるが、何が嫌かと訊かれれば「渋滞」と答えよう。リアルなカオスってこういうことだったのね、と毎回気づかされる混乱の極み。怒号、クラクション、逆走、車線無視、ふと横を見たら荷馬車がノロノロ走っている。この大渋滞の幹線道路を涼しい顔した歩行者が構わず横切っていく。物売りがまた近づいてきた、あー目が合ってしまっためんどくせー。原形をとどめているまともな車は無いのか!ストレスの大海の中に巻き込まれて、たいした距離でもないのに小一時間、フラフラでレストランに着いてビールも無いのである。


酒無しで素早く肉を喰らい、日没時さらにエスカレートしているカオスの中に再突入して這々の体でホテルに帰還。肉の隙間にビールを流し込んで本日終了。


エジプトの近代化は、車の無い社会実現後に開始されるだろう。

 

2017年5月24日水曜日

 
 

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