かいぼり
かいぼり
井の頭池では12月に入ってから「かいぼり」の準備を進めていたが、昨日あたりから排水が始まった。池の水はすぐに無くなるわけではなく、徐々に減り、干上がるまでにはかなり時間がかかるので、今はまだボートで遊んでいる人もいる。ボートは池の水が干上がる前までに全て陸揚げするようだ。散歩中ちょうどスワンボートが引越していたので写真を撮る。
かいぼりは今年で3回目。水質を改善し外来生物を駆除して生態系を回復する取り組みだという。聞いたところによると、これまで2回のかいぼりで外来魚のブラックバスやブルーギルを駆除したら、彼らの餌だったアメリカザリガニが異常繁殖し始めたようだ。アメリカザリガニは池底に穴を掘って冬眠する。果たして、今回のかいぼりでどの程度駆除できるのか。あるいは、駆除しなければいけないものなのか。かいぼりはホントに必要なのか。冬になり水鳥が増えて彼らの憩いの場になっている井の頭池だが、かいぼり期間中水鳥たちは一体どこに行けば良いのだろう。
池の水が汚れてしまった最大の原因は湧水量の激減にある。1日2~3万トンあったと言う池の湧水は昭和40年代初頭には枯れてしまい、今は5カ所の深井戸からポンプで汲み上げた水を池に流している。周辺住宅地の開発のせいだろう。人間は周囲の全てを消費し尽くそうとする。そして絶滅寸前になり慌て始める。人間は生態系の一構成員なのだろうか。生態系のバランスを崩すためだけに存在しているようでもある。
ブルーギルは50年近く前、私がアメリカから持ち帰り、水産庁の研究所に寄贈したもの。食用魚として期待が大きく養殖が開始されましたが、今このような結果になったことに心を痛めています。(今上天皇@第27回全国豊かな海づくり大会 2007)
人間に臨むことは動物にも臨み、これも死に、あれも死ぬ。同じ霊をもっているにすぎず、人間は動物に何らまさるところはない。すべては空しく、すべてはひとつのところに行く。すべては塵から成った。すべては塵に返る。(コヘレトの言葉3:19-20)
2017年12月26日火曜日