カイロ

 


着陸は大抵深夜、明るい時間帯にカイロを空から眺めたことはなかった。今回は早朝の着陸で、朝焼けに染まるカイロを上から体験できた。


カイロはナイルデルタ、扇の要にある街だ。イスタンブールからの飛行機はその緑の扇形を二等分するラインを飛んでいるのだろうか、見下ろすと朝霧に煙る肥沃な緑の三角州。細く蛇行したナイルの分流や池の水面が緑を切り裂き朝日を反射させている。処々で焚き火をしているようだ。のろしの煙のように朝霧の中を高くたなびいている。カイロ市域に入るとナイルの川幅が広がるのと同時に、建物も高く大きくなってくる。高度の低い朝日に照らされて長い影が出来、立体感が強調されて街はきれいに見える。


きれいに見えるもう一つの理由は、建物の色が全て同じような砂漠の砂の色だということ。街が砂で出来ているようだ。建築は緑と引き換えに作っていることが見て取れる。イブン・トゥールーン・モスクを巻き込むように大きく左に旋回すると、このモスクの「掃き溜めに鶴」状態が一目で分かる。名作は空から見ても名作だった。


今回は左の窓際だったので、ギザのピラミッド群を見ることが出来なかったのが残念。朝の着陸の機会があれば、その時は右の窓側を選んでみよう。

 

2015年12月2日水曜日

 
 

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