発掘現場見学
発掘現場見学
黒河内さん、柏木さんたちのお陰で、4500年前のファラオの船、いわゆる「第二の太陽の船」の発掘現場を見学させていただくことになった。クフ王の大ピラミッドの足元。この船が収められている竪坑は、既に発見・発掘・復原・展示されているいわゆる「第一の太陽の船」の収められていた竪坑に隣接し、クフのピラミッドの頂点を通る中心線に対して線対称の位置に設けられている。「第一の船」が極めて良好な保存状態で発見されたのと違い、この「第二の太陽の船」の材料となっている木材は、何故か水の影響を受けて脆い状態になっている。
竪坑に収められている約1200のパーツを、全て3Dスキャナーで位置を確認・記録しながら数年がかりで引き上げ、引き上げた材料ひとつひとつに修復を施し、将来は船の原形を復原する、という気が遠くなるような任務。現在は部材を記録し、引き上げ、修復作業を続けているところだ。引き上げられた木製の部材は傷んでいるものの、ホゾ孔や継手の複雑な加工跡、組立て時に使ったと思われるマークが明確に残っていて当時の造船技術の高さが推測される。エジプトに鉄器の無い時代であることを思えば、驚くべきことだ。
学生時代、発掘作業で何度も重たい泥レンガを持った影響で手首を捻挫した時、カイロの病院に連れて行ってくださった吉村佳南さん(作治さんの御長女)と発掘現場で約30年振りの再会。4500年に比べたらつい先日、「さっき」みたいなものだが、それでも感無量。
(写真は「第一の太陽の船」)
2015年12月19日土曜日