奈義巡礼1

 


20年振りの奈義町。


宮脇愛子さんが去年の8月に亡くなってから1年が過ぎた。彼女を偲ぶ回顧展が「銀座・ギャラリーせいほう」に続いて奈義町現代美術館で開催され、最終日に松田さんがギャラリートークをするという。この機に伺うことにした。


前日に新幹線、JR津山線を乗り継いで5時間かけて津山入り。現場に常駐していた時にお世話になった懐かしの「焼肉千恵」を訪ねる。磯崎アトリエOB諸氏や松田さんらと合流し、作州牛退治。女将さんとも再会を祝し、気分が奈義町向きにチューンアップされてきた。津山泊。


翌日、石山・佛願御夫妻の車に便乗させてもらい美術館に向かう途中で、築50年の津山文化センター(設計・川島甲士 構造・木村俊彦)を見学。「暇だからご案内しますよ」という職員のご厚意で、館内隈無く見学させていただいた。ラッキー。


霊峰那岐山を背後に控える奈義町は、豊かな森林に覆われている。ここまで来たのだから少し観光客的な動きをしてもいいだろう。美術館に行く前に、法然が子供の頃に挿した枝が巨木になったという伝説がある菩提寺の大イチョウに寄ることにした。標高が上がるにつれ雨とともに霧が深く立ちこめてきて、なにやら神秘的な雰囲気に包まれ始める。目的地の菩提寺に着いた筈だが、見上げても乳白の霧ばかり。大イチョウがどこにあるのか分からない。濡れ落ち葉を踏みしめ案内図に従って進むと、いきなり巨木が現れた。法然伝説によれば900年近い樹齢である。一本で森全体に拮抗する生命力を放出している。


(つづく)

 

2015年11月8日日曜日

 
 

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