国立故宮博物院

 


あの白菜がやってくるらしい。2年前に初めて台北に行った時には、大混雑の中、大陸からの団体客から頭突き攻撃を受けながらの見学だった。乾隆帝の収集した狂気のコレクションに圧倒され「何度でも再訪したい」などと思ったものだが、そう何度も行けるわけではない。神品至宝がわざわざ上野まで来てくれるというのだから混むのは承知でまた見てみようか、と思っていたら次のニュース。


東京国立博物館(東京都台東区)で6月24日から開幕する特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」。そのPRに使用されているポスターなどに正式名称である「国立」が書かれていないとして、台湾政府が東京国立博物館に抗議、訂正されなければ企画展中止も辞さないとの声明を発表したと複数の台湾メディアが報じた。台北の国立故宮博物院のサイトでも、同様のリリースが発表されている。


むむむ、なるほどこのポスターには「国立」の文字が無い。「東京国立博物館」にはしっかり「国立」の文字が入っているが。そんなことは言われるまで気づかなかったけれど、それよりもこのポスターを見て驚くのは、これほど拡大しても白菜の精密な細工が薄まらないことだ。現物は缶ジュースほどの小さいものであることが信じられない程である。


乾隆帝はこれに類する「米粒に般若心経」系の超精細な工芸品を好んで収集していた。現実の世界は既に征服してしまったので、スケールの違うバーチャルな世界で遊ぶことに興味が移行していたに違いない。「高齢の帝は王朝に老害を撒き散らした」と書かれる程に。片手で白菜、片手に天眼鏡を持ち、どんな笑顔で愛でていたのだろう。

 

2014年6月22日日曜日

 
 

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