預言者のモスク
預言者のモスク
サウジアラビアのメディナ、ムハンマドが住んでいた場所には、100万人収容可能と言われる巨大な「預言者のモスク」があり、現在も同心円状都市計画の中心になっている。このモスクの建物外周部にある日除用の傘が壮観。ただしイスラームに入信しない限りこの場所には行けないので実際に見たわけではないのだが、YOUTUBEやネットの写真でその凄さの一端を垣間見ることが出来る。
傘と言っても、一辺25.5mの正方形をした朝顔型の巨大なもので、それが250基、テントの総面積は16万2000㎡に及ぶ。傘の開閉機構を持つ可動部分はドイツの重機メーカー、テントの膜は日本の太陽工業が製作した。先日、太陽工業でこの仕事に関わった方に話を訊くことが出来た。彼も現場には行っていない=まだ入信していないようだ。彼によるとこの傘は、毎日、日の出と同時に開いて大理石が暖まるのを防ぎ、日没すると閉じ空を解放して、昼間暖まった大理石床板の放熱効率を高めていると言う。毎日、日の出と日没時に鳴り響くアザーンの音に同調するように250基の巨大な傘が同時に開いたり閉じたりする様は、それだけでも超越性を感じさせる迫力があるだろう。
中東の建築物の床に大理石がよく使われるのは、裸足で歩いた時にひんやり冷たく感じるからだという。冷たい=贅沢なのだ。夜間石を冷やし、昼間は日陰をつくって巡礼者を迎え入れる。おもてなしとはこういうことではあるまいか。
2014年4月29日火曜日