2つの展覧会
2つの展覧会
内藤廣展@ギャラリー間
真摯に建築に向い合う姿勢が伝わってくる、気持ちのいい展覧会。「わたしは凡庸な人間だ。だから、わたしにできることは、誰にでもできることだと信じている。展覧会を見て、もし共感してもらえるところがあるのなら、それはあなたにもできることだ。(内藤廣)」と勇気づけられる。
瀧口修造展@ときの忘れもの
また例によって気づいたら最終日になっていたので慌てて駆けつけると、小さいギャラリーがごった返している。瀧口修造が出身の富山高校で学生相手に講演した「美と言うもの」の録音を聞く会が終わったところだった。
僕らの世代にとって瀧口修造(1903-1979)は文章を通じて名前を知った伝説的人物で、その声や姿に直接接した事がなかった。この機会を逃した事が悔やまれる。だが、磯崎さんのところで奈義町現代美術館を担当させていただいたおかげで、瀧口と交流した宮脇愛子、岡崎和郎、荒川修作らと貴重な時間を共有することが出来た。先日マドリン・ギンズが亡くなり、奈義町のことを夢のように思い出していたところなので、この録音を聞き逃したのはかえすがえすも残念だ。
ギャラリーに展示されている作品を見る時にはいつも「買うならどれ?」を自問しながら見ることにしている。滅多に買うことはないが。今回は、水彩で湿らせた紙の上に実に滑らかにペンを走らせている作品がいい。宮脇愛子の『うつろひ』を連想させられもする。ペンは滑らかだが、高校生を前にしての語り口は訥々としていたらしい。
綿貫さんに誘われ、瀧口ゆかりの方々と池田達雄さんを囲んで思いがけず会食。
2014年1月27日月曜日