シュルレアリズム
シュルレアリズム
<遊ぶ>シュルレアリズム@損保ジャパン東郷青児美術館。
美術館は42階。よっぽどのことが無い限り、超高層には上らないようにしているのだけれどしょうがない。よっぽどの展覧会だ。
展覧会の監修は巖谷國士。出展作品のリストを見ると、マン・レイのいくつかの写真以外はほぼ全て国内の美術館などが持っているもののようだ。日本にここまでシュルレアリズムが浸透しているのは瀧口修造の影響だろう。彼の最初で最後のヨーロッパ旅行(1958)の際、カダケスのダリのアトリエでマルセル・デュシャンに偶然会った、そのことが書かれた絵はがきが展示されていて感銘を受ける。宛先は綾子夫人。書きたいことを全て書こうとするかのような小さい文字がびっしりと小さいハガキを埋め尽くし、当時の興奮が伝わってくるようである。切手の貼り方すらも「さすが瀧口修造」などと深読みを誘う。瀧口修造はロトデッサンやデカルコマニーなどの作品も面白い。岡崎和郎さんと作った「檢眼圖」などが展示されているのも良かった。
ペーペーだった頃、磯崎さんのところで担当させてもらった奈義町現代美術館は、瀧口修造ゆかりの作家3組にサイトスペシフィックな作品を構想してもらい、それに屋根を架ける仕事だった。3組の作家とは荒川周作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、そして宮脇愛子。贅沢だった。もう竣工から19年経つ。「死なないこと」がコンセプトだった荒川さんは3年前に亡くなった。
話題を振りまいたゴッホの「ひまわり」がセザンヌの静物画、ゴーギャンの風景画を脇に従え、展示ルートの最後に鎮座している。何とも言えず場違いな感じ。
2013年7月16日火曜日