ファラオの形象

 


学生時代、研究室で大変お世話になった西本真一さんの著作『ファラオの形象ーエジプト建築調査ノート』(淡交社)を遅ればせながら読んだ。


Ⅰ  かたちの氾濫—古代エジプト建築の豊穣

Ⅱ  泥片のジグソーパズル—マルカタ王宮の天井画

Ⅲ 建造作業記録を求めて—石切り場に残る赤い線と日付

Ⅳ キュービット尺をめぐって—オベリスクとピラミッドの勾配の意味

Ⅴ 八本脚の動物像—トゥトアンクアメンの折り畳み式寝台


パラパラめくったら、いきなり若かりし日の自分の写真が出て来て驚いた。専門家でない人にも楽しく読める優しい語り口で、彼自身が取り組んできた王朝期エジプト建築研究の世界最先端を紹介している。エジプトから見れば地球の裏側の日本で、これほど精緻な研究が行われていることに驚かされる。エジプト建築の圧倒的な魅力が、多くの研究者を捕えて離さないのだろう。暑いだの埃っぽいだの和食が無いだのサソリがいるだのぶつぶつ言いながらも、西本さんをはじめとする多くの研究者は何度でも砂漠の遺跡に向かう。


「ナイルの水を飲んだものは必ずナイルに戻る」と云われている。西本さんに率いられ調査で滞在したルクソールで水にアタッって酷くハラをこわした記憶が鮮やかによみがえって来た。ボクがナイルに戻るのはいつだろうか? 

 

2013年4月19日金曜日

 
 

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