金環日蝕
金環日蝕
日蝕は寒かった。太陽がほとんど隠れるので、光だけでなく熱も届かなくなり、朝の気温上昇が滞るのは当たり前のことなのだが、視覚の人はそのことに気づかない。
聴覚の人となって金環日蝕を見上げる。太陽の前を月が横切る時、どんな音が聴こえるのだろうか。宇宙空間が無音だという説も聞くが、それじゃあまり面白くない。日常的な感覚では分からない程の微少な音が発生している筈だ。
星相互の大きさ、重さ、距離、速度などの比例関係の条件変化によって、異なる音が出ると考えてみる。周囲の天体との位置関係も音を決める重要なファクターになるだろう。してみると、天空が奏でる音楽は、宇宙が誕生した瞬間から現在まで続く、一回性再現不能の長い曲であるとも云える。全宇宙が奏でる途切れない音楽の一断面を、瞬間瞬間に味わうことができたら、どんなに楽しいだろう。
全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ。
(詩100:1)
2012年5月22日火曜日