耐震補強
耐震補強
事務所が入っているのは、戦後すぐに建てたと言われているから、新宿あたりでも最も古いだろう木造2階建て。大家さんはこの度耐震補強工事に着手し、この先まだ何年も使い続けることを高らかに宣言した。
昔からおつきあいのある大工さんに工事を依頼した、のはいいのだが、予告無しに工事音がうるさい。工程を細かく決めずに丁寧に進める工事もオツなものだが、いつ騒音が出るかぐらいは事前に知りたいのが人情というものである。
内壁はもともと漆喰仕上げの真壁である。廊下に面した壁は構造用ベニヤを柱間に貼付け、大壁造にしてしまうらしい。当分の間は地震には強いが、長期的に見れば建物の寿命は真壁造りに比べると短くなるかもしれない。補強工事後の建物寿命は化学的な糊で張合わせたベニヤの寿命=糊の寿命そのものになってしまうし、ベニヤは建物を呼吸出来ないように密封してしまうからだ。人も建物も呼吸が基本だろう。
息をひそめて次の大地震を待つのも、人と建物は似ているのか。
表面仕上げを剥がされた壁の下地を見ると、竹や藁で組んだ小舞の隙間から、土がぼこぼこ顔を覗かせている。自然の材料だけで建物を造っていたことがよくわかる。
2012年3月23日金曜日