CCTV
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「紫禁城の黄昏(Twilight in the Forbidden City)」の著者ジョンストンが言うように、清朝末期の状況は黄昏と言うにふさわしかったろう。百年後の今も北京はトワイライトな白い粒子で充満している。空は相変わらず降り注ぐ黄砂に加え、深刻な大気汚染による視界不良で、晴れた真昼でも天蓋は乳白色に覆い尽くされ、林立する高層ビル群は辛うじて輪郭が見える程度に霞んでいる。
コールハースのCCTV新社屋をようやく見に行った。竣工直前にホテル/劇場棟が違法な花火が原因で鉄骨を残し全焼したため、燃えた部分の再工事を続けているものの、燃えなかったところは使い始めているようだ。かつて見たことが無いものがそこにある。今にも動き出しそうな巨大なロボットの下半身、のようにも見える。コールハース本人は「新社屋は本部が女性が四つん這いで女性器を突き出している格好、ホテル/劇場棟が男性器」と言ってる。ふふふ、よっぽど嫌な目にあったのだろうか。施主である国営企業は、他を圧倒する権力と財力を表出するイコンを建築家に求め、建築家は流れに身を委ねると見せかけながら尻をぺろっと見せる。
近づくと、外壁はあり得ないぐらい汚れている。形が形だけに外壁清掃は不能かもしれない。汚れたら燃やして作り直せば良いか。
ジョンストンは、トワイライトは日没の光という意味だけでなく、暁の光と言う意味も含まれていると言う。現在のトワイライトはどっちだ。
2012年1月18日水曜日