カンボジア
カンボジア
文化人類学者Dr.マキノが、先頃行ってきたカンボジア・プノンペン近郊でのスラム調査の写真を見せてくれた。
草原の中の村があり、水上生活者の群れがある。どの建物も同じように安価な最小限の材料で組み立てたバラックである。水たまりで遊んでいる金髪の子供たち。栄養が足りないため髪の毛が脱色したような色になってしまっているのだ。ヒトだけではない。牛もこの国では何か別の惑星から来た生き物のように、とんがって痩せこけている。
ポル・ポトのクメール・ルージュによる大虐殺で知識層が壊滅し、社会的/文化的基盤ゼロからの再出発のただ中でもがき苦しむ国の現状である。強制労働や飢餓、爆撃や戦闘により数百万人が死んだ。ボクが中高生の頃、同時代のことだ。
写真の一枚に未完成RCの建物があると思ったら、石山修武の「ひろしまハウス」だった。未完だと思って油断してると竣工してるという噂もある。
悲劇の後で建築に何が出来るか。ひろしまハウスもスラムのフィールドワークも、マイノリティーの視点でそれを探そうとしている。
Dr.マキノはアンコールワットを見ること無くカンボジアを離れた。物見遊山の観光をする気持ちにはなれなかったのだろう。
2011年8月25日木曜日