311

 


3月11日は父の誕生日。


事務所で机に向かっていると、天井から下がっている照明器具が揺れはじめた。すぐにおさまると思っていたが次第に揺れが大きくなり、それとともにゴゴゴという地鳴りとミシミシという建物が歪む音が大きくなる。新宿一帯で最も古い木造の1階部分である。


「とうかい」ってどう書くんだっけ?と思いながら、マキノさんと目を合わせ外に逃げることにした。よろけながら廊下を進み、入口の木扉を開けると目の前で電柱がグワングワン震えている。快晴の空を背景に西口の高層ビルがブンブンしなっている。一旦おさまったが、何度も大きな余震が来る。船酔いになったみたいだ。


「震度7らしい。」「10mの津波が来るぞ。」などテレビ、ラジオやツイッターの情報が口づてに広がっている。どうやらとてつもなく大きな地震が東北地方で起きたようだ。


家族が心配になる。恐る恐る事務所に戻って自宅に電話をかけると、この時には普通につながった。家では本とCDが散乱したという。妻は無事だ。娘は出かけているらしい。


竣工間際の現場に電話し、怪我人も無く皆無事、工事中の建物にも被害がないことを確認。


すぐに帰宅することにした。


みんなビルからの落下物を心配して車道を歩いている。西口のバス乗り場まで歩きマキノさんと分かれ、少し並んだら永福町行きのバスに難なく乗れた。車窓から新宿中央公園に避難した高層ビル街の人たちが見える。西永福でバスを降り、あとは歩くことに。歩きはじめて20分程で逆向きに走るタクシーをつかまえることが出来た。


帰宅。テレビで流れている巨大な津波が街を飲み込む映像に絶句。体の芯が冷えていく。


娘がまだ帰宅していない。公衆電話から、友達と一緒に渋谷にいると連絡して来た。タクシーは拾えそうも無いという。長時間並んででもバスに乗り学校方面に戻れと指示するも、結局彼女が学校に辿り着いたのは深夜1時過ぎだった。


燃える気仙沼の映像が流れ続けている。高橋和志さんはどこにいるのだろうか。

 

2011年3月12日土曜日

 
 

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