北京にて 7
北京にて 7
快晴。
朝は宿の近く、新疆ウイグル自治区出身経営者の食堂で朝食。羊の美味しい店は入り口にアラビックで何かが書いてあるのが目印だ。
ここは朝6時から客で賑わっている。羊の焼き肉と香草をたっぷり挟んだパン、それに羊の内蔵入りスープ。どちらもなかなか美味い。何でも美味いんだけどね。
あっという間に帰る日になったけど、飛行機は夕方だし、万里の長城を見ないで帰るわけにも行かない。行ってみました慕田峪長城。
過去の自分に、この3日間でリセットされた中国に対する感覚を伝えるのは難しい。
秦の始皇帝が全国を統一して長城(現在のものよりだいぶ北側にあった)を繋げたのが紀元前3世紀。そのとき日本は縄文時代だった。歴史の先達への畏怖にも似た尊敬の念、それが長城に痛い足で立ってみて漸く実感として迫って来る。歩いて街のスケールを体感することを中心に3日間を過ごしたが、長城はそんな小さな目標をあざ笑うかの様に、聳え立つ山の尾根上を無限の彼方まで延びている。人が歩いて大きさを感じるには何年かかるのだろう。
長城建設は北方からの異民族の侵入を防ぐためと言われているが、彼らの主食である羊が峠を越えられないようにするためにつくったという説もある。実見するとそんな機能的な意味を遥かに超えて、純粋世界遺産として存在した。デザインや計画概念とは異次元の、評価を拒絶する「モノの迫力」だ。
生ニンニクをゴロリと入れた炸醤麺(ジャージャーメン)を堪能し、北京とお別れ。再見。
ボクが帰ってから北京は酷暑。昨日は39℃、今日は40℃。危機一髪だった。
2010年7月6日火曜日