北京にて 2
北京にて 2
今日は故宮と決めている。「中華世界の中心」で愛を叫ばなきゃならん。
宿の周囲も見所満載なので、朝から歩くことにした。この時点では、まだ北京のサイズがよくわかっていなかったのだ。
「南鑼鼓巷」と呼ばれる故宮北側のエリアに宿はある。700年前の元の時代に付けられた名前だ。近くに「鼓楼」「鐘楼」があり、その職人たちが住む地域だったのでこの名が付けられたという。今は「欧米人バックパッカーが集まるオシャレストリート」ということになるようだ。散策したのは、まだ朝も早い時間だったので、ほとんどの店は開店前、通勤通学の人たちが急ぎ足で通過しているだけだ。その方が街の骨格がよく見える。
「ここがチャン・ツィイーの出身校・中央戯劇学院か」などとゆっくり歩きながら怪しい国籍不明男性(シンガポール人と間違えられること多し)はエンジンの回転数を徐々に上げて、故宮に対面するその時へ備える。
「南鑼鼓巷」から故宮までは歩行距離で3キロ位だろう。南北に走る大通り「北河沿大街」には並走する緑道があり、緑道内の広場では朝の体操、太極拳などに打ち込む方々が散見される。この国で「健康」は時代を超えて遍在するキーワードなのだ。
故宮には、東北の角から近づいた。周囲を幅50m以上の壕にぐるっと囲まれている矩形の故宮は、コーナーに天守閣のような角楼を設けた巨大な四角い船のようにも見える。(写真)黄砂の所為なのかもしれない、遠景は霞んでいてその平面的広がりをさらに強調する空気遠近法になっている。正面ではなく、北側にある裏口の「神武門」から故宮に入ることになった。
つづく
2010年7月1日木曜日