山口文象邸
山口文象邸
山口文象の自邸(1940年~)は、現在御子息の音楽家・山口勝敏さんがお住まいで、サロンをコンサート会場に転用し、時々音楽会を開催している。「ときの忘れもの」の綿貫さんに誘っていただき初めて伺った。
ピアノとリードオルガンを使った心地よい演奏。プロテスタントの教会で育ったボクにとって、リードオルガンの音は無条件で懐かしさを感じる。
演奏後、晴天新緑の中庭に出る。学生時代この場所に居候していたという植田実さんがナビゲーターとして当時のことを語り継いでくださる。
この建物は、何度も名前を変えた建築家自身同様、増改築を繰り返し、植田さんがいた当時の面影はほとんど無くなっているようだ。その時々で最適解を求め続けた建築家の人生の軌跡そのものとなっている。変わらないのは大きな平入切妻瓦屋根の勾配と、矩形の庭の輪郭ぐらいか。
修論の時、白井晟一をテーマにしたが、当時白井と山口の接点には気づかなかった。このイケメン建築家2人が、どちらも林芙美子と少なからぬ縁を持っていたのを最近知り、興味深く思う。次は林芙美子邸(山口文象設計)に行くこととしよう。
2010年5月24日月曜日