ハマーム
ハマーム
トルコと言えばトルコ風呂。皆様ご存知の諸事情で、最近はハマームというのが一般的のようだ。
初体験はアンカラだったと思う。アングルの絵のように、プルンプルンの女体が最密充填構造でたっぷり待ち構えていらっしゃるものかと思っていたら、屈強なメンズだけがこちらを睨んでいる場所だった。あたりまえか。
番台のようなところで案内され、通された個室でスッポンポンになった後、浴場に入って上を見上げるとドーム型の高い天井に小さい円形の穴が無数に開いている。蒸気の立ち籠めた空間に自然光が差し込んで、光の筋がやけにドラマチックだ。モスクと同じタイプの建築形をしていて、崇高さが満ち満ちている。言われるままに座らされたコーナーはかなり暑い蒸し風呂になっている小部屋。皮膚に直接触れる場所、床や座面や壁は全て大理石。
体が温まり、皮膚表面のいろんなものが擦れば落ちる頃合いを見計らって、メンズのひとりがドームの中央部から手招きする。
ドームの真下、部屋の中央、大理石で出来た正8角形の大きなテーブルの上に寝かされる。床面から40〜50センチばかり高くなっている。8角形の1辺は、人が横になって充分余裕のある長さになっていて、客8人vsメンズ8人、台を取り囲んで垢擦りやマッサージをしている。石が温かいのは裏側から蒸気で暖めているからだろう。
あんなことやこんなことを大理石の上でされるがままにされていると「人間の尊厳」という文字が脳裏をよぎる。
それが終わると場所を変え、石鹸で体をむやみに泡立てた後、水栓から出るお湯を真鍮の手桶で頭からジャバジャバ立て続けに掛けてくれる。地上にいる筈なのに溺れそうになる。
何もしてないのにヘトヘトだ。風呂上がりにはベッド付きの個室が与えられそこでゆっくり休むことに。冷たい飲み物が運ばれてくるが、「トルコ風呂で睡眠薬の入ったコーラを飲まされみぐるみ剥がされてしまった日本人の哀れなオトコ」の話を旅行前に聞かされていたので、目が冴えて眠るどころではない。コーラは全部飲んじゃったけど。
トルコのこと、まだつづくかも。
2010年3月9日火曜日