パイプ

 


ヴァイオリンを最初に教えていただいたのは白柳先生。二人目の先生は、冗談みたいだけど黒柳先生。


黒柳守綱先生はパイプをこよなく愛していて、レッスンの前には毎回違うパイプを披露してくださり、一緒に愛でていた。今思えばとてつもなく貴重なレッスンだったにも拘らず、ろくな準備もせずあたふたと弾く生徒に先生も呆れていたに違いない。結局高校の受験準備開始と共にレッスンを続けられなくなった。


音楽に向かう姿勢が中途半端だったことに、自分でも耐えられなかったのだろうと思う。レッスンの終止符は自分で打った。それ以来先生につかず、途中何年も楽器を触りもしない時期を過ごし、今は黒柳先生のレッスンの記憶だけで再びヴァイオリンを弾いている。


黒柳先生は、ボクが学生オケでヴァイオリンを再びはじめた時に亡くなり、感謝しようにも想いは伝わらない。不甲斐無いことだ。


ヴァイオリンのケースを開ける度、パイプの香りが甦る。

 

2010年12月15日水曜日

 
 

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