谷口吉郎のオークラ

 


事務所から歩いて10分ほどのところに、ホテルオークラが鎮座ましましている。徒歩でオークラに入って行くというのも、果てしなく怪しいのだが、時々待合せや打合せ場所として重宝させてもらっている。


谷口吉郎の設計したロビーは、正面に雪見障子と組子のスクリーン、2尺ほど掘込まれたスペースにはラウンジチェアと丸テーブル、ルーバー天井とそこから吊られた照明器具、吹き抜けを渡るブリッジ、それだけだ。余計なものを削ぎ落とした後に残った全ての要素が、磨き上げられた比例関係で見事におさまっている。


直接金を生まない広い空間を正面に据え続けているのは、都市型ホテルの老舗としての矜持だろう。商業建築が公共的意味を持ちうる可能性がここにある。


今後もよろしくお願いします。徒歩だけど。

 

2009年9月11日金曜日

 
 

◀

▶