カリグラフィー
カリグラフィー
カリグラフィー作家・蘆野ゆり子さんのアトリエ訪問。カリグラフィーは、主に西洋において文字を美しく見せる手法。
蘆野さんのアトリエには、制作中、完成品を問わず作品がいくつもあるが、例えばJ.S.BACHの「マタイ受難曲」全曲の歌詞を一枚の紙に書き記しながらそれを十字架の型に纏めるような作品などを拝見すると、驚異的な集中力の持続に感服せざるをえない。アトリエの窓先にある緑を見ながら、弛緩と緊張を果てしなく繰り返す作業は想像を超えている。
今日は、彼女が最近手に入れた本物の羊皮紙に書いた作品を見せていただく。羊皮紙は、紙ではなくて皮である。羊皮紙を作る職人は、獣の皮から毛をむしり、石灰で煮て大きな枠に皮を張りテンションをかけてから、専用の刃物で紙のような薄さにまで皮を手で削っていく!のだという。
ドイツの4代続く羊皮紙職人からそれを入手した蘆野さんが、また来ると言うと、後継者がいないので店を閉じてしまうとの事。彼の二人の息子も皮を扱う仕事はしているものの、実際に手を動かして羊皮紙を作る職人にはなりたくないらしい。
人間は、そのうち何も作れなくなってしまう。
2009年8月26日水曜日