明日館
明日館
「地霊に取り憑かれた街」西池袋に用事。調べてみると自由学園の明日館(みょうにちかん)がちょうど月一回の見学日だ。早めに行って、用事の前に見学することにした。2001年に壊れかけていた建物の修理が完了した後は、国指定の重要文化財を使いながらの「動態保存」のモデルとして運営されている。
牧師の息子F.L.ライトの、帝国ホテルと同時期の設計は、厳格な左右対称の配置、軒を低く抑え水平線を強調した立面、6角形をモチーフにした幾何学的な装飾など、ライトの典型的作風が満載。ホールと食堂まわりの、床レベル・天井高を変えながら連続する空間が見所だ。
展示されていた工事報告書に載っていた竣工当時の図面を見ると、見慣れない様子の断面図。木造なのに土台が地表レベルより低い。地面のレベルと1階の床レベルを揃えたかった気持ちはわかる。ライトの弟子・遠藤新は、高湿度の日本における木造の基礎や土台の作り方を師匠に教えたのだろうか。大規模な改修を必要としたのは、高湿度に曝され、水浸しでビチョビチョになった土台が腐ってしまったのが一番の理由だろう。
設計の不具合で壊れかけても、都心に大きな庭と低層建築を残す非経済性がじわじわと迫ってきても、建築に対する愛着、教育文化に対する使命感が勝ったということか。莫大な費用と時間をかける改修工事を決断した自由学園の踏ん張りに拍手。商業建築の宿命を持つ帝国ホテルの選んだ道と、鋭い対比を見せている。
道を挟んで建つ遠藤新設計の講堂も、師と同様に対称性、床レベル・天井高の扱いに特徴があり秀作。師の作品が堂々と正面を睨んでいるのとは対照的に、弟子の作品は師の視線を避けようとしているかのように、横を見ている。
その気持ち、わかる。
2009年12月6日日曜日