パウロ@カテドラル
パウロ@カテドラル
丹下健三のカテドラル(1964年)は、モノトーンの建物だ。先週金曜日、そのカテドラル内部が色彩に満たされた。色の源はメンデルスゾーンの「パウロ」である。
「ターナー以前の画家は一体何やってたんだ!」(掛井五郎)そのターナーの絵をボクが初めて見た時の激しい感動に似た思いに浸されながら、カテドラルで法悦の3時間を過ごした。
バッハやベートーヴェンたち、同じドイツの作曲家の曲が、墨絵のようにも聴こえる。 これほど美しい色彩を喚起させる音楽が、それ以前にあっただろうか?濁りの無い明るい色。色相も明度も彩度も、光と喜びをめがけて疾走して行くのだ。
ターナーが、彼独自のやり方で光と空気そのものを画布に定着しはじめた19世紀前半は、ちょうどメンデルスゾーンがその天才を開花させた時期に合致する。二人の表現者が、ほぼ同時に色彩感豊かな表現に到達した事を、あとから生まれたボクたちは、驚き、感謝し、喜ばずにはいられない。
淡野弓子さんに教えていただいたのだが、メンデルスゾーンも本格的に絵を描いていたらしい。見てみたい。
2009年10月6日火曜日