水彩画家・メンデルスゾーン
水彩画家・メンデルスゾーン
早速、淡野弓子さんからメンデルスゾーンの描いた水彩画の絵葉書をいただいた。ありがとうございます。
ライプツィヒにある「メンデルスゾーンの家」で入手された絵葉書集。5枚の絵葉書はすべて風景画だ。しっかり水彩の技法を学んだ人の作品と見た。現代美術に荒らされたわれわれの目には「保守的」に見えてしまいそうなほど、デッサンのきちんとした端正で精緻な画風。
啓蒙思想やヒューマニズムの波に押し流され、誰からも注目されなくなった大バッハの作品を研究し、再度世に送り出した音楽家メンデルスゾーンの力技は、彼の絵画にも見られる保守性に支えられていたのかもしれない。
「保守」は大概現状維持的だけど、音楽で彼が達成した新しさは、天与の自然法則に基づいた音の原理を綿密に再構成することによって実現した。現状のヒューマニズムに安住しない、時間を飛び越えて物の本質に迫る行為、本物の保守だった。だから彼の描いた絵も、流行とは関係なく見る者に迫ってくるのだろう。
ヒューマニズムすらも無くなり、単なる形態操作へと転がり落ちたお寒い状況の現代建築にかかわるものが、先達の歩みから学べるものは計り知れない。
2009年10月11日日曜日