始原の小屋
始原の小屋
日本は台風でまた被害が出ているようだ。
子供の頃は、安全な部屋の中から外の雨や嵐を見るのが好きだった。たった1枚のガラス板で隔てられた内と外のコントラストが気に入っていたのかもしれない。西日本の水害被害にあってしまった方々のことを思うと、こんな悠長なことを言っている場合ではないのだが。
エジプトでは現場の片隅に小さいプレハブを建て、そこを事務所スペースにしている。窓の外は灼熱の砂漠。室内はエアコンがフル稼働していて空調が効いている。この環境のコントラストも面白い。と思っていたら、今日は朝から停電が続き、エアコンが動かない。
ロージエの「始原の小屋」は、柱、梁、破風の線的要素のみで構成されていて、それは妙に日本の木造建築との親和性があって、ボクらの学生時代には随分もてはやされた建築理論だった記憶があるが、古典主義的な建築理論とは無縁なところで生まれた本当の原始の建築、あるいは砂漠の小屋は、危険/安全を区切る面的な要素が必要最小限の機能だったのではないかと思う。雨や日射しを防ぐ平面を屋根と呼び、狼や犬が侵入できないようにする平面を壁と呼ぶ。線的な要素は、あくまで面的なものを構成する為のパーツにしか過ぎないのではないか、始原の小屋、なんて悠長なことを言ってんじゃないよ、屋根無いと死んじゃうんだよ。暑いし学者じゃないから勝手なことを考える。脳が熱暴走しているな。
2018年7月29日日曜日