ルーブル・アブダビ
ルーブル・アブダビ
昨年末竣工したばかりのジャン・ヌーヴェル最新作。ドバイでの乗り継ぎ待ち時間が16時間もあったので、アブダビまで陸路片道2時間かけて行ってみた。
この建築は、直径180mの浅いドーム屋根を連続する展示室の上に架け、展示室の隙間からドーム屋根を内側から見上げた時の幾何学的木漏れ日の美しさが話題になっている。ドーム屋根はパターンの違う8つの層で構成され、光や風が直接入ってくる大きな日除。雨が少なく光と影の強いコントラストが望める地域だからこそ成立する構成だ。
アプローチのルーバー屋根/壁はヌーヴェルがデザインしたものとは思えない程貧相で残念。また、アプローチから外観を眺めると、ドームが浅く立面的な美しさは今ひとつだ。だがひとたび中に入りドームを見上げると、漏れてくる自然光の効果が素晴らしい。
展示室そのものはホワイトキューブの連続、前世紀的美術館の典型である。コレクションそのものはルーブルだけあって有無を言わさぬ充実ぶりだが、ルート終盤の現代美術の展示は拍子抜けするほど見応えが無い。「現代」をどう扱うかはさすがのルーブルも苦心しているようだ。
カジュアルなカフェでサラダとリゾットを食す。高いが美味い。アルコールは無し。
ミュージアムショップでこの建築に関する本を探してみたが見当たらない。訊ねると「建築関係の本はない」と素っ気ない返事。ルーブルとヌーヴェルの蜜月時代は終わっているのだろう。当初は2012年オープン予定だったと聞く。予算追加、工期延長を何度も繰り返していれば施主はさぞやご立腹なのだろう。今後この美術館には、過日オークションの価格で話題になったダヴィンチの「救世主」が展示されるらしい。話題には事欠かない。
2018年1月20日土曜日