クセナキス4
クセナキス4
視覚、聴覚に関するメモ。
クセナキスの場合、深く音の世界に関わっているとはいえ本質的には視覚的人間だったのだろう。記譜法が独特で、その形から音を連想させようとしているかのようだ。HPシェルそのものの形をしている楽譜もある。フィリップス館の形状を直接転写したような、建築図面と見紛う景色の楽譜だ。
人を視覚的人間と聴覚的人間に2分するとしたらボクらはどっちだ、盲目の音楽家Gと話したことがある。音楽家Gは自身を圧倒的に聴覚的だと主張する。対してボクは職業上視覚的にならざるを得ない。
目を大切にしなければいけない人は、目を酷使する人生を送る。
盲目の音楽家、盲目の料理人、盲目の香水師、そして目を覆って全身触覚のかたまりとなったO嬢。彼らは視覚を持つものよりもかえって深いレベルでその世界の秘密に触れるだろう。
「盲目の建築家」はあり得るか?ミケランジェロは目が不自由になってからも手探りで彫刻を彫ったと伝えられている。だが、サン・ピエトロの設計時には鋭い目をしていたに違いない。
クセナキスは音楽家/聴覚的人間である以上に、建築家/視覚的人間だ。視覚的な形体が先在し、それが音を生成するという方向で創作をしていたのようにも見える。対して音楽家Gは音だけを使って表現するが、その音楽は驚く程具体的な映像を喚起させる。
2011年1月12日水曜日