受難曲演奏会のご案内
受難曲演奏会のご案内
この作品は、カリグラフィー作家・蘆野ゆり子の「Matthäus Passion」。バッハのマタイ受難曲の全てのテキストが網羅され、十字架形状にまとめあげられている。日本で無理矢理似たものを探すとすれば写経だろうか。
日本で知られている教会暦は「クリスマス」ぐらいなので、この時期(受難節)に受難曲の演奏がある意味を知る人は少ないんだろうな。
受難節は四旬節ともいい、復活祭の前40日間のことを指す。(6回の日曜日は40日間に含まれないため、実際には46日間。)さらに「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日が復活祭」というのが現在の復活祭の定義だが、イエスの時代のユダヤは太陰太陽暦、今はユリウス暦を引継いだグレゴリオ暦に変わってしまったので、その調整の歴史も興味深い。「コンプトゥス」と呼ばれる復活祭計算法があるが、同時代の天文学の発展がコンプトゥスの深化を支えてきた。計算の挙句、今年は2月17日〜4月3日が受難節。クリスマスと違い、受難の日時は聖書のテキストをもとに、暦法が変わったとしても計算によって特定できるのだ。
40という数字に関して、聖書は特別な扱いをしているがそれはまた別の機会に。
バッハの「マタイ」は、マタイによる福音書の26章と27章のテキストを下敷きにし、聖書本文の他にアリアやレシタティーヴォを加えまとめあげたもの。印刷された聖書を持つ人が少なかった時代には、福音書の内容伝達手段としても重要だっただろう。
受難(=十字架)の3日目には復活(=イースター)が来る。この曲の何とも言えない不思議な終わりかたは、十字架の先に復活の喜びがあることを予感させる。
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2010年2月8日月曜日